就職活動の面接の一番の目的は、自分を最大限アピールすることです。そのため、面接官からの「自己PRをお願いします」といった質問は、自分の強みをダイレクトに面接官に伝えることが出来る最大の機会と考えて良いでしょう。
しかし、どれほどの人が明確な自信を持って自己PRを発表しているのでしょう?あなたは、「こんな自己PRでいいのかな…?」と悩んではいませんか?または、「アピールすることなんてないよ…。どうしよう…」と途方に暮れてはいないでしょうか?
はたまた、「自分はこれまでに色々な功績を残してきたから自己PRには自信がある!」とたかをくくってはいないでしょうか?
過去にいくら功績を残してきたとしても、それが志望する企業にとって魅力的に映るかは分かりません。逆に、自分には何もアピールすることがないと思っていても、しっかりと自己分析をすることで大きな強みが見つかることもあるのです。要するに、順を追って自己PRの対策をしていかなければ、効果的なものは作れないということです。
そこで、このページでは自分のアピールポイントを見つけるための自己分析の方法や、企業研究と合わせた自己PRの作り方、自己PRを作る時の注意点などについて解説していきます。自己PRはよく聞かれる質問であるため、これを読んでしっかりと作り込んでいきましょう。
自己PRは自己満足であってはならない
自己PRは面接官が考えている人物像に寄せる
自己PRは、決して自己満足であってはならないと考えています。たとえ自分にとって誇らしい事柄でも、面接官の心に響かなければ全く意味がないのです。
要するに、あなたのアピールポイントと、面接官が欲しいと思っている人材像が合致していればいいだけのことですね。
例え話:
電気量販店に、新しくスマートフォンを買いに来たとする。この時、あなたはバッテリーが長持ちするスマートフォンが欲しいと思っていて、スタッフに相談をした。しかし、このスタッフは勝手に画質の良いスマートフォンのほうがいいと思っており、「このスマホはバッテリーの持ちは一番ではありませんが、画質がとても良いです。いかがでしょう?」と勧めてきた。
このスタッフのことをあなたはどう思いますか?私なら、あまりお客様のことを考えていないスタッフだと思ってしまいます。なぜなら、お客様が求めていることよりも、自分の考えを第一にしてしまっているからです。本来なら、バッテリーが一番のスマートフォンを提示してから、補足として画質の良いスマートフォンを勧めたほうが商談がスムーズに進むでしょうね。
話を戻すと、やはり面接官が欲しがっている人物像に合わせて自己PRの内容を考えたほうが、必然的に面接に受かりやすくなるのです。
面接官に働く姿をイメージさせる
もう1つ大事なことがあります。それは、面接官にあなたが働いているイメージを抱かせることです。
例えば、人が物を買う時というのは、それを使うイメージを頭に描いているはずです。スーパーで食材を買う時はそれを使った料理を思い浮かべているでしょうし、服を買う時はそれを着ている自分やシーンを想像しています。
そして、こうした心理は面接官が人材を採用する時も同じです。面接を通して求職者の特徴を聞き出し、どのような場面で会社の力になってくれそうかを無意識にイメージしているのです。この時、働く姿をイメージ出来ないような求職者は残念ながら採用されにくいです。
面接の最終目標は、自分が働いている姿を面接官にイメージさせ、役に立つことを示すこと。そして、そのためには自己分析と企業研究の2つが必要不可欠となります。
では、以下で自己分析と企業研究を交えた自己PRの具体的な作り方を説明していきます。是非参考にしてみましょう。
自己PRの作り方
自己PRを作るためには、上記の通り、自己分析と企業研究が必要となります。この2つを行うことで、面接官が欲しがっている人物像に近づくことが出来、さらに具体的で説得力のあるアピールが可能になるのですね。
しかし、自己分析と聞いて面倒くさそうだと感じてしまう人は結構多いと思います。ただ、この作業をしておくことで、より詳しく自分のことを把握することが出来ます。また、自分に向き合うことで隠れた強み・弱みを発見することも出来るでしょう。
1度自己分析をして頭を整理しておくことで、イレギュラーな質問に対しても焦らず対応できるようになると思っています。だからこそ、就職活動をする上で自己分析をすることは基本だと覚えておきましょう。
では、以下で自己分析と企業研究の方法を1つずつ確認していきましょう。
自己分析の方法
私の自己分析は、以下の2つからなります。
- 自己PRのために行う強み・弱みの洗い出し自己分析
- 面接の質問に答えることによる自分の再確認
今は自己PRを作るための自己分析がしたいので、「1. 自己PRのために行う強み・弱みの洗い出し自己分析」について解説します。
※「2. 面接の質問に答えることによる自分の再確認」は下の記事の質問1つ1つに答えていけば完了します。
要するに、実際の面接質問に答えていけば、自己分析にもなるということです。これは経験上強く感じています。時間はかかりますがやってみてください。
自己分析シート
自己PRのための自己分析というのは、基本的に自分の強みを見つけるところから始まります。こうしていくつもの強みを見つけておけば、次に行う企業研究でその強みを活かせる仕事を探しやすくなるのです。
また、強みを探すと同時に弱みも洗い出していきましょう。面接では「あなたの弱みは何ですか?」や「今のあなたの課題は何だと思いますか?」といった質問もよくされるので、今のうちに書き出し、後から考える手間を省いておくと良いですね。
【上の自己分析シートの“前職”の具体例】
強み:
「提案力」
強みを証明するための具体的なエピソード:
「前職では営業職をしていたが、最初は売り込むというよりも、悩みを聞き出すようにしてお客様の求めていることを聞き出し、それに合った商品のご提案をするようにしていた」
弱み:
「意見を押し通す能力の欠如」
弱みを証明するための具体的なエピソード:
「営業でお客様から悩みを聞き出しても、その悩みを解決できるような商品がない時や、頑固なお客様に対しては、自分の意見を押し通すことが出来ないことがあった」
弱みを改善するためにしている対策:
「最近は、お客様からただ悩みを聞き出すのではなく、お客様が気付いていないような潜在的な悩みを自分であらかじめ考えて質問し、商談がスムーズに行くように工夫している」
この具体例のような要領で、“アルバイト”、“学生時代”、“その他”の項目も埋めていきます。最初から完璧なものを作ろうとはせず、思い付いたことをどんどんと書いていきましょう。
企業研究で自己PRを具体化する
自己PRの役割の1つは、『面接官に働く姿をイメージさせる』でも書きましたが、具体的な仕事を挙げて面接官に自分の働く姿を想像させることにあります。
そこで、企業研究が重要な作業となるのです。
【企業研究】
企業研究とは、転職活動、就職活動において、応募を希望する企業または興味関心を持つ企業についてを調べ、理解を深める一連のプロセスのことを指す。
企業研究とは|コトバンク
企業研究をすることで、仕事を多角的な方面から考えられるようになり、自己PRの内容に具体性が増します。すなわち、面接官があなたを採用したらどのように力になってくれるかをイメージしやすくなるということです。
私の企業研究は、ただ仕事内容を把握するだけではなく、社長、社員、お客様からの視点から仕事の背景を捉えていくやり方です。詳しくは『多角的企業研究の方法』で具体例を交えて説明をしているので、トライしてみましょう。
自己PRの具体例
自己分析と企業研究を終えたら、いよいよ自己PRを作っていきます。まずは、自己分析で洗い出した自分の強みを並べていきましょう。この時、自ら強みと言ったものに関してはそれを証明できるエピソードがなければなりません。
自分の強みの例:
- 「提案力」
- 「忍耐力」
- 「継続力」
続いて、企業研究をすることで判明した、仕事で求められる能力を整理していきます。
仕事で求められる能力の例:
- 「親身に対応する能力」
- 「住宅の提案をしていく能力」
- 「協調力」
- 「問題解決力」
- 「積極的に情報を集める能力」
- 「お客様の要望に対して提案する能力」
- 「アイディアをひねり出す発想力」
(企業研究の材料を集めていくの“求められる能力”参照)
それぞれが出揃ったら、自分の強みと求められる能力で一致しているものを見つけ、以下のように整理していきます。
「提案力」
=「住宅の提案をしていく能力」「お客様の要望に対して提案する能力」
「忍耐力」
=「問題解決力」
「継続力」
=「親身に対応する能力」
ここまでくれば、いよいよ最終段階です。出てきた中で、現在自分が志望している職種で一番活かせる能力はどれでしょう?それを決めて、自己PRの内容としていきます。今回は、「提案力」を一番アピールしたいことだと仮定して、自己PRを以下に作ってみます。
自己PRの基本形
自己PRの基本の形は以下のようになります。
- 自分がアピールしたい強みを示す
- 示した強みを証明するエピソードを話す
- その強みをどんな仕事に活かしたいか・どんな力になれるかを話す
それではさっそく、自己PRの例文を1つ作ってみたので読んでみましょう。
自己PRの例文:
- 私の強みは提案力があるところです。
- 前職では営業に携わっていましたが、お客様との商談の際は、まずお客様の悩みを引き出すように質問し、その悩みを解決できる商品のご提案をしていました。このように最初にお客様から悩みを聞き出すことで、比較的スムーズな商談に持って行くことが出来ていました。
- そしてこの提案力は、御社の営業の仕事で、お客様の声を聞き、要望を具現化するために使っていきたいと思っています。住宅というのは人生の中で1番大きな買い物ですので、悔いがあってはなりません。ですので、要望を実現させることはもちろんのこと、お客様が気付いていないような潜在的な要望がないかにも気を配り、十分に満足して頂ける住宅を提供していきたいと思います。また、こうした仕事が御社の満足度アップにつながっていくと考えています。
自己PRの基本の形に沿って、具体的なエピソードを盛り込むことが出来れば、面接官はあなたが働く姿をイメージしやすくなり、その分採用される確率も上がっていくと思います。自己分析と企業研究をしっかりと行い、抜かりなく自己PRを作っていきましょう。
自己PRの注意点と疑問のあれこれ
ここからは自己PRを考える時の注意点や、よく出てくる疑問についてまとめていきます。時間がない人も簡単に目を通しておくと良いでしょう。
自己PRは数値などを出して具体的にすべきか、簡潔にすべきか?
A.具体的にすべき
自己PRは、自分が最もアピールしたいことをダイレクトに面接官に伝えることが出来る絶好のチャンス。そのため、面接官には自分が会社の力になれることを分かりやすくPRする必要があります。そうなると、当然具体的なアピールをしなければならないのです。
ただし、だらだらと長すぎても分かりにくくなってしまうので、自分の強みが証明できる具体的なエピソードは1つにして、自己PRをしていきましょう。
自己PRでアピールする強みは1つか複数か?
A.1つに絞る
絶対ではないのですが、私は自己PRでアピールする強みは1つに絞ったほうがいいと思っています。なぜなら、そのほうが面接官にとって印象に残りやすいからです。もしあなたが初対面の人と会った時に色々と言われたら、どんな人なのか印象が薄くなってしまいますよね。それと一緒です。だから時間が限られている面接の場では一番アピールしたいことを1つに絞ったほうが印象的で、かつ、親切でもあります。
自己PRで伝えるアピールポイントは1つに絞り、それを示す具体的エピソードを盛り込んで、面接官に自分のことをしっかり印象付けましょう。
自己PRに学生時代のサークルやアルバイトの話をするのはありきたり過ぎるか?
A.そんなことはない
確かにサークルやアルバイトの話を自己PRに持ってくる人は多いと聞きますが、そんなことは大した問題ではないでしょう。それより大事なことは、言ったことに対してどう努力したか、その経過や根拠であり、相手を納得させることが言えるかどうかが一番大切なのです。
相手が疑問なく納得してくれないと不信感が出てくるので、無理をしてサークル・アルバイト以外のことを持ち出す必要はないと感じます。
自己PRは直近の出来事のほうがいいのか?少し前のエピソードはダメか?
A.直近の出来事のほうが好ましい
人は変わるものであり、いくら過去に栄光があったとしても、現在も過去と同じように努力が出来るとは限りません。そのため、自己PRでアピールする出来事は、なるべく直近のエピソードから選んだほうが良いのです。
しかし、中には直近のエピソードにアピール出来ることがない人もいると思います。そういった場合は、アルバイトなどあまり昔の話と捉えられないものを選びましょう。
まとめ
私の自己PRの作り方は自己分析と企業研究ありきで進めていくものです。そのため、大きな手間がかかり、中には大変だと思う人もいることでしょう。面倒くさくてやらない人だっていると思います。
しかし、自己PRというのは、自分を最大限アピール出来る絶好の機会であるため、手間を省くのは非常にもったいないと思っています。自己分析や企業研究は大変ですが、それらをしっかりとしておけば企業側からは「欲しい人材だ」と思ってもらえる確率がぐんと上がるのです。
また、自己分析や企業研究はその他の面接の質問に答える時にも大きく役立ちますね。だからこそこの2つをしっかりと行って、魅力的な自己PRを作っていきましょう。