就活・転職活動で必要となる提出物の1つに、履歴書があります。履歴書と聞くと面接の時のみに使われる書類のように思われがちですが、万が一企業に入社したら、あなたがその企業に居続ける限りその履歴書は大事に保管されます。いわば、自分の分身のようなものですね。
しかし、どのように書けば正しいのか、自分の場合はどう書けばいいのか、最低限守るべきルールがあるのか、などを知らない人は意外と多いように感じます。私も転職をする時、履歴書の職歴欄をどう書けばいいのか分からずに悩んだことがたくさんあります。
そこで、ここでは履歴書の各項目について、どう書けばいいのかを解説し、同時に注意点なども提示していきます。順番に読み進めていけば、見栄えの良い履歴書が完成するでしょう。また、履歴書を作成する上でよくある疑問点についても言及していくので、参考にしてほしいと思います。
書き込み方と注意点
履歴書は種類やメーカーによって多少の違いはあるものの、基本的な内容はどれも同じです。そこで、とりあえず上記のように基本的な履歴書を5分割し、それぞれの項目を説明していくことにしましょう。
履歴書の書き方よりも、履歴書の種類や選び方を知りたい人は、まず『転職する際に必要な履歴書の選び方と買える場所』を一読することをおすすめします。
①個人の基本情報
提出日の前日の日付
履歴書の一番最初には、日付を書く場所がありますが、何日の日付を書けばいいのか悩んでしまう人もいるのではないでしょうか?そこで、私がおすすめしているのは、この履歴書を提出する日の前日の日付を書くことです。
例えば、履歴書を提出するのが7月20日だとしたら、7月19日と書きます。
特に提出日当日でも問題はありませんが、履歴書を執筆するのは提出日よりも前のはずなので、私はそうしていました。また、ポストに投函して提出する場合は、投函日の日付を記入すると良いです。
証明写真の裏には名前を書く
証明写真はのりや両面テープで貼ることが多いですが、いくら丁寧に貼っていたとしても、剥がれてしまう可能性がゼロになったわけではありません。万が一剥がれてしまった場合、顔と名前が一致しなくなるので非常に厄介です。
そこで、証明写真を履歴書に貼る前には、忘れずに写真裏に名前を書いておきましょう。見えない配慮も時には大事です。
年齢は履歴書を提出する時のものを書く
履歴書には年齢を書く欄があります。この部分は「満○○歳」という書き方になっていますが、この“満”というのは、“現時点での”を意味しています。そして、履歴書に関して言えば“履歴書を提出する時の”となります。
例えば、現在は7月1日で、24歳。誕生日は8月1日だとします。仮に履歴書の提出日が7月20日ならば、履歴書の年齢欄には、たとえ今年25歳になるとしても「満24歳」と書くのが正しいのです。
②学歴・職歴
真ん中に学歴・職歴と書く
学歴・職歴欄には、学歴と職歴をそれぞれ分かりやすくまとめて記入していきます。そして、学歴や職歴を書き始める時は、一番最初の行の中央辺りに「学歴」「職歴」の文字をバランスよく書きましょう。
また、学歴の最後の行を書き終えたら、一行開けて「職歴」と書くとパッと見てまとまりが分かりやすくなります。
職歴の書き方
職歴には正しい書き方が複数存在し、さらに、人によって職歴は様々なので一言で説明することは難しいです。そのため、ここからは職歴を6タイプに分けて説明することにします。
- 過去に所属していた会社は数社で、履歴書の職歴欄に収まるタイプ
- 履歴書の職歴欄に書き切れないほど書くことがあるタイプ
- 派遣社員・契約社員タイプ
- アルバイト経験を書きたいタイプ
- 職歴がないタイプ
- 在職中の場合
【1.過去に所属していた会社は数社で、履歴書の職歴欄に収まるタイプ】
過去にいた会社が1~数社の人や第二新卒の場合は、職歴を書く欄に余裕があるはず。そのため、1つの会社に3行を使っていきます。
- 1行目:「株式会社○○○○(社名)」+「入社」
- 2行目:「○○支社(管轄)」+「○○部(部署名)に配属」
- 3行目:「新規顧客開拓(仕事内容など)」
こうすることで、面接官はあなたがどのような仕事をしていたのかを一目で把握することが出来ます。
【2.履歴書の職歴欄に書き切れないほど書くことがあるタイプ】
もし、これまでに多くの企業に従事していたことがあり、職歴欄に書き切れないと判断した場合は、入社したことと退職した理由を1セットにして記入し、詳しくは別に職務経歴書を作成します。また、この時職歴の最後に「詳細は職務経歴書に記載」と書いておくとどんな面接官にも分かりやすく、親切です。
【職務経歴書】
職務経歴書とは、これまで自分が経験してきた職務内容や所属していた会社についてまとめた書式のことを言う。
転職希望者(求職者)が採用担当者に対して提出する応募書類の1つで、企業の採用担当者はは採用選考時の判断材料として用いる他、採用後も人事書類として社内で大切に保管されるようになっている。
職務経歴書の場合、履歴書のように明確な書式の仕様は決まっていない。そのため、Wordなどを利用して、相手が相手が読みやすい形で、自ら作成することとなる。
職務経歴書とは|コトバンク
職務経歴書は履歴書とは異なり、自分の好きなように作成することが出来るので、今までの職歴を最大限アピールすることが出来ます。『職務経歴書の見本』では、模範となるようなものがたくさん見れるので、参考にしてみましょう。
【3.派遣社員・契約社員タイプ】
過去に派遣社員や契約社員をしていた人でも、基本的には正社員だった人が書く履歴書とほとんど変わりません。というのも、履歴書の本質は、自分がどんな経験をしてきたかを面接官に分かりやすく伝えるところにあるからです。
そのため、所属していた派遣元を記載する必要もないのです。中には、「株式会社○○(派遣元)に派遣登録」などと書くように示唆している人もいますが、採用する側からすればあなたがどこの派遣会社に登録していたかなど関係ありません。それよりも、派遣先がどこで、どんな経験を積んできたのかを知りたがっています。よって、仕事内容を記入しアピールしていきましょう。
また、これまでに勤務した派遣先が多く、仕事内容まで書き切れない場合は、上の【2.履歴書の職歴欄に書き切れないほど書くことがあるタイプ】で説明したように書けば良いでしょう。
さらに、こうした書き方をしても書き切れないという人は、以下のように派遣元のみを書いて簡単にまとめ、職務経歴書に詳しく記していく方法もおすすめです。
【4.アルバイト経験を書きたいタイプ】
転職活動をする時に、履歴書の職歴欄にアルバイトの経歴を書くことは少ないと思います。しかし、新卒後にすぐ退職し、何年かフリーターとしてアルバイトをしていたり、これから選考を受ける企業へのアピールになりそうな場合は、職歴の欄にアルバイトのことを書くのも1つの手です。
もし、数年間アルバイトをしていたにも関わらず、その経過を示していないと、面接で説明するまで面接官からは何もしていなかった人だと思われてしまいます。そして、積極性のない人物だとも思われかねません。
数ヶ月でアルバイトを辞めていたり、企業へのアピールにならないようなものであれば書く必要はないと思いますが、少しでも自分をアピールできる材料になりそうならアルバイトだとしても書き記しておくのが良いです。
また、アルバイトを複数行っていた場合、アピールになりそうなものだけを選んで書くか、
- 平成○年○月「計3社にアルバイトとして勤務」
- 「接客業、運送業 等」
- 平成○年○月「現在に至る」
- 「 以上」
とまとめて書けば良いでしょう。
【5.職歴がないタイプ】
【6.在職中の場合】
現在会社に所属しながら転職活動をしている人もいるでしょう。そういった場合は、履歴書の「一身上の都合により退職」などと書いている部分を「現在に至る」に変えると、在職中であることが面接官に伝わりやすいですね。
③資格
履歴書の資格の欄は、資格を取得した年月、「資格の正式名称」+「取得」と書くのが望ましいです。
また、保有している資格が多過ぎて書き切れない場合は、それらすべてが選考時のアピールにつながるのか改めて考えてみましょう。いくらすごい資格があったとしても、選考を受けている企業の仕事で役に立たなければ効果は薄いです。そのため、アピールになりそうな資格のみを書きます。無理をしてすべてを書く必要はないことを覚えておきましょう。
④志望動機・自己PR等
志望動機や自己PRの欄はただの四角の枠なことが多いです。そのため、文字の大きさ等はすべて自分で決めることになります。その場合はあらかじめ文章を考え、その文字数を考慮して、履歴書に幅を決める補助線を鉛筆で薄く書きます。こうすることで、文が曲がることなく書きやすく、面接官が見た時も読みやすく仕上がります。
多くの人は補助線を引いているでしょうが、たまに何も考えず直接書き始める人がいるます。以前、私の友人にもこうした人がいたのですが、ある時面接官から「読みにくいから線くらいは引こうね」と指摘されていました。友人の文字が汚かったのも要因の1つかもしれませんが、鉛筆で軽く補助線を引くくらいは簡単にできるはずなので、忘れずに行いましょう。
また、志望動機、自己PRを書き終えたら必ずすぐに補助線を消しましょう。私は面接当日、面接会場に入り、あと数分で面接が始まる時に補助線を消し忘れていることに気付いたことがあります。この時はすぐに消しゴムで消せたから良かったのですが、もし気付いていなかったらと考えると恐ろしいです。
ちなみに、履歴書の志望動機や自己PRの作り方を知りたい方は、『面接で使える!志望動機を絞り出すための多角的企業研究』や『就活の面接でかなり使える自己PRの具体的な作り方』のページを参考にしてみてください。
⑤本人希望記入欄
履歴書には、最後に本人希望記入欄が設けられていることが多いです。しかし、特に何も書くことがないという人もいると思います。そういった場合は、一言、「貴社規定に従います。」か「貴社規定に準じます。」のどちらかを書くようにしましょう。
また、家族の介護等、家の事情で転勤がどうしても出来ない時は、「○○の理由により(父の介護があるため)、勤務地は本社(○○支店、都内)を希望致します。」などと書けば良いです。他にも、在職中の転職活動である場合は、「在職中のため、平日の9~20時の間は電話に出ることが出来ません。」などと電話に出られない時間帯を記しておくと親切ですね。
その他・注意点
その他、履歴書を書く上での注意点を簡単に箇条書きにしてみました。
- 履歴書を書く時は黒ボールペンを使用する
- 誤字・脱字に対して修正液・修正テープは使用禁止(間違えたら新しい履歴書でやり直し)
- 略字は使わない(○株式会社 ×㈱)
- 郵送・提出前は履歴書のコピーを取っておく
もうほとんど常識的なことで、真新しさはないと思います。しかし、出来ていない人も少数派として存在しているため、ここに書いてあることはよく覚えておいてください。
よくある疑問点
履歴書1つ作成するにも、様々な疑問が湧いてくると思います。そこで、よくある疑問点をまとめて解説していきます。私の経験から導き出されたものもあるため、参考程度に読んでみましょう。
手書きかパソコンで打ち込むか
履歴書は手書きで作成することも出来るし、パソコン上で文字を打ち込んで紙に印刷する方法もあります。手書きは人間味が感じられ、パソコンは文字のミスをすぐに修正することが出来、さらに読みやすいです。
では、私はどちらを選択していたかというと、手書きです。やはり、手書きのほうが一目見てどれだけ丁寧に作成したのかが分かります。なにより、手書きは時間がかかるため、まごころがこもると思っています。ちなみに、たまたまかもしれませんが、転職活動中に集団面接をした人たちも皆手書きでした。
手書きもパソコンも、どちらが不正解だということはないのでしょうが、私は手書きを推奨します。
趣味・特技は書くべきか
趣味・特技が仕事に役に立つことは少ないかもしれません。しかし、私は趣味・特技は履歴書に書くべきだと思っています。なぜなら、趣味・特技はその人のひととなりを示し、他の求職者との差別化を図ることが出来るからです。
例えば、あなたが面接官で、テニスの経験者だったとします。そして、3人の求職者のうち1人がテニス経験者だったら、きっとあなたはその人に特別な親近感を覚えるでしょう。
これは、心理学におけるミラーリングの一種だと考えられます。
【ミラー効果】
心理学で使われる言葉で、「同調効果」といわれる。親密な関係では相手と同じ動作をすることが多く、好意を抱いている相手と同じ動作をしてしまうことなどもミラー効果である。
逆に人間関係のテクニックとして相手に好意をもってもらうために、意識的にミラーリングを使用することもある。動作だけでなく、言語(発言)にも応用することが出来る。
ミラー効果/ミラーリング|weblio辞書
無理をして書く必要はないですが、書ける欄があれば簡単にでも書いておきましょう。
【趣味・特技の簡単な書き方、具体例】
- 趣味:カフェ巡り(週に2日はカフェで食事をします)
- 特技:テニス(学生時代に始め、○○の成績を残しました)
まとめ
以上が履歴書の書き方です。もう一度、以下に簡単にまとめてみます。
【履歴書の書き方ポイント】
- 日付は提出日の前日推奨
- 証明写真の裏には名前を書く
- 記入する年齢は履歴書提出時のもの
- 学歴・職歴欄の書き方は人によって異なり、場合によっては職務経歴書を最大限活用する
- 資格欄は「資格を取得した年月」+「資格の正式名称」+「取得」
- 資格は仕事に役に立たないものは無理をして書く必要はない
- 志望動機・自己PRを書く時は鉛筆で薄く補助線を書いてからにする
- 本人希望記入欄は特に書くことがなければ「貴社規定に従います。」と書く
- 履歴書を書く時は黒ボールペンを使用する
- 誤字・脱字に対して修正液・修正テープは使用禁止(間違えたら新しい履歴書でやり直し)
- 略字は使わない(○株式会社 ×㈱)
- 郵送・提出前は履歴書のコピーを取っておく
- 履歴書への記入は手書き推奨
- 趣味・特技は書く欄があれば書く
履歴書は面接官をする人全員に目を通され、さらに、他の求職者のものと比較されます。そのため、変なミスをしないように注意しましょう。油断大敵です。
また、履歴書は一度作成してしまえば、志望動機を変えること以外はだいたい使いまわすことが出来るので、最初の1回目はよく考えながら丁寧に作っていきましょう。