転職活動、何から始める？最初の不安を整理して一歩踏み出す方法

転職は、ほとんどの人にとって慣れない行動です。

正社員経験があっても、ブランクがあっても、「まず何をすればいいのか」が分からずに立ち止まってしまうことがあります。

私も始めたての頃は、やみくもに求人に応募しては選考にすら進めず、遠回りや失敗を繰り返していました。

特に、前職を早く辞めていたり、しばらく働いていない期間があると、

「自分にはアピールできることなんてないんじゃないか」
「このまま時間だけ過ぎていったらどうしよう」

といった不安を抱えがちです。

しかし焦って動き出すのも禁物。

たとえば、準備が整わないまま、いきなり求人に応募してしまうと、

本当に自分に合った職場か分からないまま入社してしまう
面接でうまく伝えられず、落ちたことで自信を失う

など、後悔につながるリスクがあります。

転職活動では、「最初にどんな印象を持たれるか」が意外と重要で、その後の選考にも影響を及ぼしていきます。

だからこそ、「何から始めるべきか分からない」という段階で焦らず、一つひとつを順序立てて整理することが大切です。準備の仕方は人それぞれですが、土台をしっかり作ることで、不安や迷いも少しずつ減らしていけます。

この記事では、

ブランクがあっても始めやすい準備の方法
転職を失敗しにくくする進め方
求人選びで後悔しないための考え方

といったポイントを、ステップごとにまとめていきます。

まずは情報を整理しながら、自分に合ったやり方を見つけていきましょう。

STEP 1：転職活動の全体の流れをつかもう！
STEP 2：「いま働ける状態」の準備を整える
1. 短期離職・ブランクはどこまで不利？
STEP 3：自己分析と情報収集で、転職の軸を整理する
STEP 4：書類・面接の不安を少しずつほぐす
STEP 5：求人選び・応募の準備に進む
STEP 6：サポートを活用して進みやすくする
不安なときこそ、相談できる場所がある

STEP 1：転職活動の全体の流れをつかもう！

転職活動を始めるとき、多くの人がつまずくのは「何から手をつければいいかわからない」という点です。

求人を探すべきか
履歴書を書くべきか
それともエージェントに登録するべきか

情報が多すぎて、最初の一歩が決まらない。

この段階で抱く「漠然とした不安」は、自分のスキルや経験以前のところにあります。

だからこそ、はじめにやるべきことは “全体の流れを整理して、迷子にならないようにすること”です。

― 転職活動の全体像（5ステップ） ―

以下が、転職活動の基本的な流れです↓

自己分析・準備
情報収集（求人・企業・業界）
応募書類の作成（履歴書・職務経歴書）
応募・面接
内定・入社準備

正社員未経験だったりブランクがある場合は、1.の【準備】段階に「働ける状態づくり」や、心配ごとを一つひとつ整理しておくことも大切です。こうした準備ができていると、後のステップが楽になります。

― 順番が見えると、迷わなくなる ―

最初から全部できなくても問題ありません。

「自分が今、どの段階にいるのか」さえ分かれば、手をつける順番が明確になります。

転職活動は、スキルだけで決まるものではありません。

情報の整理と、計画的な進め方だけでも、結果が大きく変わっていきます。

STEP 2：「いま働ける状態」の準備を整える

転職活動を始めると、まず「履歴書や志望動機をどう書くか」といった書類づくりに目が向きがちです。けれども、それが高いハードルに感じて手が止まってしまう人も少なくありません。

特にブランクがあると、「自分はもう働けないんじゃ…？」と不安になり、その不安が手を動かす力を奪ってしまうことがあります。

でも、最初にやるべきことは、完璧な書類を仕上げることではありません。

まずは、「働ける状態」を自分のペースで整えていくこと。小さな目標を一つずつクリアし、積み重ねていくことが、転職活動への自信に変わっていきます。

以下は、短期間でも取り組めて、効果が出やすい3つの準備です。

起床・就寝時間を固定する：起きる時間だけでも決めておくと、昼夜逆転が少しずつ改善します。午前7〜9時の間に起きることを目標に。まずは「毎朝同じ時間に布団から出る」だけでも大きな一歩になります。
朝に日光を浴びる：起床後1時間以内に太陽の光を浴びると、脳が「朝になった」と判断し、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑えられ、代わりに覚醒を促すホルモン（セロトニン）が活性化されます。これが、自律神経や体内時計のリセットに役立ちます。
午前中に軽い運動をする：軽い運動はセロトニン（感情の安定に関わる神経伝達物質）の分泌を促すため、気分が落ち込みやすい朝にも、心の安定を助ける効果があるとされています。また、血流が促進されることで脳のパフォーマンスが上がり、自律神経のバランスも整いやすくなります。

短期離職・ブランクはどこまで不利？

「ブランクがあると、もう選べる仕事がないのでは…」

こうした不安を持っている人は多いと思います。

でも実際には、「即戦力ではなく、育成前提」で採用している企業も多数あります。

たとえば以下のような傾向があります。

■ 育成前提の求人の特徴

第二新卒歓迎／未経験OK
研修制度あり・マニュアル完備
人柄重視・丁寧な教育体制
労働時間が安定している

こうした企業は、入社時点でのスキルよりも、「長く働けるか」「人間関係を築けるか」「学ぶ姿勢があるか」を重視します。

■ 未経験・ブランクでも通りやすい職種例

事務職（正確さや報連相が重視される）
ルート営業（ノルマなし・新規開拓なし）
コールセンター（マニュアル完備）
販売・受付などの接客業

実際にエージェント経由では、こういった職種での内定事例も多くあります。

「どんな求人が自分に合うのか」を見極めていくだけでも、不安は少しずつ解消されていきます。

また、近年は若手人材の確保に苦労する企業も多く、未経験やブランクのある人材を“育てていこう”と考える会社も案外多いものです。

「採用してくれる会社が本当にあるのか」と不安になることもあるかと思いますが、希望を捨てる必要は全くありません。

STEP 3：自己分析と情報収集で、転職の軸を整理する

転職活動を始めたばかりの段階では、「どんな仕事を選べばいいのか」「そもそも自分に何が向いているのか」が見えていないケースもよくあります。

なんとなくで求人を見始めると、「この条件は良さそう」「この会社も気になる」と迷うばかりで、応募に踏み切れないことも。

だからこそ、自分の過去や希望する条件をリストアップしておくことが、選ぶべき方向性を見つける第一歩になります。

自己分析は「完璧に言語化」より「ヒントを拾う」くらいでいい

転職での自己分析は、就活のようにきれいなエピソードを作る必要はありません。大切なのは、「どういう仕事や環境なら前向きに続けられそうか」を知ること。

たとえば下にあるような問いかけで、自分を掘り下げてみてください。

1. これまでの仕事や学校生活で、どんなことにやりがいを感じたか？

（「楽しかった」「工夫した」「役に立てた」と感じた場面を振り返ってみると、自分がやりがいを感じるポイントが見えてくる）

飲食のバイトで、常連さんに「今日もありがとう」と声をかけられた時、役に立ててる実感があって嬉しかった。
チームでやった学園祭の準備で、裏方の作業を全部任されて大変だったけど、終わった時に達成感があった。
前職では、マニュアルを作り直す提案が通って、他のスタッフに「使いやすくなった」と言われたのが嬉しかった。

→ 人の役に立てたと感じた時にやりがいを感じる、自分なりの工夫やサポートにやりがいを感じるなど

2. 働く上で「これだけは避けたい」と思う条件は何か？

（過去にしんどかった経験や「こういう環境はつらかった」と思ったことを振り返ると、避けたい条件が見えてくる）

前の職場では、業務の指示がコロコロ変わって混乱したので、やることがある程度決まっている環境が合いそう。
忙しすぎてトイレに行く時間もないような日が続いたので、余裕を持って働ける環境じゃないと体調を崩してしまう。
周囲が競争的すぎて、相談しづらかった。できれば「質問しやすい雰囲気」のところがいい。

→ 自分の体調や人間関係の面で、再発を避けたいポイントを見つけられるとOK

3. 体力・人間関係・成長のスピードなど、自分に合うペース感は？

（「続けやすかった経験」と「しんどくて続かなかった経験」を比較すると、ちょうどいいペース感が見えてくる）

長時間の立ち仕事はきつかったけど、事務のバイトのように座ってできる仕事は体力的に続けやすかった。
いきなり新しい業務を任されるより、1つずつ丁寧に教えてもらえる環境の方が、自信を持って取り組めた。
人付き合いがゼロだと孤独だけど、前職のように毎日飲み会や過剰な関わりがあるのも疲れる。「適度な距離感」がある職場が良さそう。

→ 体力・メンタル・対人距離のバランス感覚を掴むことで、自分に合う働き方を選びやすくなる

完璧な答えがなくても、「こういう方向が自分には合ってるかも」と思えるだけで、求人選びの基準が見えてきます。

求人・業界・会社の情報は、思っている以上に見えづらい

求人票に書かれている情報は一部にすぎません。

たとえば「研修制度あり」「未経験OK」とあっても、その中身は会社によってバラバラです。

以下のような視点で、情報を多角的に集めるようにすると、応募後のミスマッチを防ぎやすくなります。

企業の公式サイトや口コミサイトで雰囲気をチェック（「転職会議」「OpenWork」など）
業界全体の動きや将来性をおおまかに把握
「未経験歓迎」と書かれている職種の中でも、どれが自分の得意な力が活かせそうか考える

転職エージェントに相談すれば、求人票には出てこない情報（人間関係や定着率など）も補足してくれるので、活用していくのもひとつの方法です。

「なんとなく惹かれる求人」を見つけたときこそ、深掘りのチャンス

情報収集を続けていくと、条件ではなく「なんかこの会社気になるかも」と感じる求人が見えてくることがあります。

業務内容はざっくりしてるけど、「チームで協力しながら」って書いてあるのがなんか安心する
社員の写真に笑顔があって、変にキラキラしてない自然体な雰囲気だった
「未経験者向けの教育体制が整っています」って、丁寧に書かれてるのが印象に残った
「土日祝休み」とか「残業少なめ」とか、条件が極端すぎなくて、現実的に働けそう
社長や社員のインタビュー記事があって、言葉の温度感が他の求人と違った
口コミで「人はいいけど地味な会社」って書かれていて、逆に気になった

そうした感覚も大切にしながら、なぜそう思ったのか、何に安心感や魅力を感じたのかを振り返ることで、自分に合った職場像が少しずつ見えてきます。

「自己分析」と「情報収集」は、それぞれを別で考えるのではなく、行き来しながら重ねていくことが重要です。

STEP 4：書類・面接の不安を少しずつほぐす

自己PR・志望動機が書けないときの考え方

「アピールできるほどの実績がない」「何をどう書けばいいかわからない」

——そうした悩みは未経験・短期離職・ブランクありの人にとって、ごく自然な感情です。

ですが、企業が求めているのは、完璧な成功体験や特別なスキルではありません。

むしろ、次のようなことが丁寧に書かれていれば、十分に評価されるケースも多いです。

小さなことでも継続した経験（例：日々の習慣、学び、努力）
困ったときにどう対処したか（例：人間関係、挫折からの立て直し）
どんな姿勢で働こうとしているか（例：丁寧さ、報連相、協調性）

【具体例：小さなことでも継続した経験】
体力をつけたいと思い、半年以上ジム通いを継続しています。
最初は続けることが目的でしたが、記録をとったり、トレーニング内容を工夫したりするうちに、自分なりに改善する姿勢が身につきました。
こうした継続の習慣は、仕事でも役立てられると思っています。

【具体例：困ったときにどう対処したか】
前職では、ある先輩社員との関係に悩んだ時期がありました。
うまく相談できずに孤立してしまったことをきっかけに、自分なりに「早めの報連相を意識する」「相談のハードルを下げる努力をする」といった工夫を始めました。
それ以降は、少しずつ関係が改善され、他の職場でも同じことが起きないよう、日頃から声をかけるようにしています。

【どんな姿勢で働こうとしているか】
自分ひとりで抱え込んでしまう傾向があるため、転職を機に、報告・連絡・相談を意識的に取り入れるようにしています。
特に、分からないことを早めに聞いたり、小さな進捗でも共有したりすることで、チームの中でも円滑にやりとりができるようにしたいと考えています。
新しい職場でも、自分から関係構築していく姿勢を大切にしたいです。

もし書けないときは、以下のような問いを自分に投げかけてみてください。

しんどかったけど、なんとか乗り越えたことは？
人から「ありがとう」や「助かった」と言われた経験は？
自分なりに工夫してやっていたことは？
思い通りにいかず悔しかったことは？そこから何を学んだ？
逃げ出したくなったけど、続けた経験は？
プレッシャーや緊張にどう対処してきた？

大切なのは、困難にぶつかった時に、どう向き合ってきたか。

そこを説得力を持って伝えられれば、面接で有利になります。

退職理由の伝え方で印象は変わる

退職理由がネガティブなものであったとしても、伝え方によって印象は大きく変わります。

たとえば次のような表現は、評価を落とすリスクがあります。

「職場の雰囲気やコミュニケーションの仕方が、自分にはやや合わず、業務に集中しにくいと感じることが増えたため、退職いたしました。」
「忙しい職場で、なかなか自分の時間を確保することができませんでした。また、一時的に体調を崩し、生活を立て直す時間が必要になったため、やむを得ず退職という判断をしました。」
「実際の仕事内容は〇〇や〇〇が多く、最初からあまりやりたい仕事ではなかったので、退職しました」

こうした言い方は、「また同じ理由ですぐ辞めるかも」と思われがちです。

では、どう言い換えるか？

事実→気づき→改善策の順番で伝えると、前向きな姿勢が伝わります。

【職場とのミスマッチを感じたケース】
【事実】前職では営業職として働いていましたが、業務の中で特に資料作成や顧客データの整理など、裏方的な作業に取り組む時間が多くありました。そうした業務に集中して取り組む中で、上司から「丁寧で分かりやすい」と評価されることもありました。
【気付き】この経験を通じて、自分は対外的なやり取りよりも、情報を整理したり、業務を支えるような役割の方が力を発揮しやすいと感じました。
【改善策】そのため、今回の転職活動では、事務職や社内サポートのように、社内の仕事を正確かつ着実に進めることが求められる職種を中心に探しています。

【忙しすぎる職場環境で心身の限界を感じたケース】
【事実】前職では、繁忙期が長期にわたる職場で、毎日の業務量が多く、時間的なゆとりがほとんどない状態が続いていました。仕事に追われる日々の中で、自分のミスに気づく時間や、周囲と確認しながら進める余裕がなく、ミスやすれ違いが重なることもありました。
【気付き】そのような経験を通じて、自分は「量をこなすこと」よりも、「ミスなく、確実に進めること」にやりがいを感じるタイプだと気づきました。また、ある程度の見通しを持ちながら仕事に取り組める環境の方が、自分の特性に合っていると感じています。
【改善策】今回の転職では、短期間で多くの業務を処理することよりも、優先順位を整理しながら一つひとつの仕事に丁寧に向き合える環境を重視しています。また、自分自身の進捗や体調を日々振り返るなどをし、安定して働き続けられるような工夫も取り入れています。

【やりたいこととのズレに気づいたケース】
【事実】前職では、配属された業務が想像していたものと異なり、自分が関心を持っていた仕事内容とかけ離れていました。実際に働くうちに、違和感やモチベーションの低下を感じるようになりました。
【気付き】退職後に、希望していた職種に近い短期のアルバイトを経験しました。たとえば、前職では顧客対応が中心でしたが、アルバイトでは裏方での事務処理や資料作成に関わることができ、「細かい作業を丁寧に積み重ねていく方が、自分には合っている」と実感しました。この体験から、自分の強みや向いている方向性を、より現実的に認識することができました。
【改善策】転職活動では、求人の雰囲気や業務内容をイメージだけで判断せず、企業の採用ページや口コミ、実際に働いている人の声など、複数の視点から情報を集めています。また、事前に職種や業務内容に近い仕事内容に触れてみるなど、自分の適性を確かめるプロセスも重視するようにしています。

これは、過去の失敗を踏まえて「次はこうしたい」と言えている例です。

面接官が見ているのは、「また同じことを繰り返すかどうか」です。だからこそ、改善への姿勢を示すことが重要になります。

⑥ 短期バイト・学習経験はどうアピールする？

「ブランク中に何をしていたか」が気になるという声も多くあります。

たとえ職歴がなくても、“働く準備をしていた姿勢”を伝えることができます。

たとえば次のような内容です。

週に数回のアルバイトで生活リズムを整えていた
朝の時間を使って動画学習を継続していた（資格取得の有無は関係なし）
家族のサポートや家事を通して、生活を立て直していた

こうした経験は、「何もしていなかった」状態とはまったく違います。

評価されるのは、具体性と継続性です。

「朝の時間に30分ずつ動画学習を続けていました」
「家事の合間にExcelの基本操作を習得していました」
「近所のコンビニで短時間の接客バイトを経験し、少しずつ働く感覚を取り戻していました」

派手な実績ではなくても、「今の自分はどういう状態で、働く準備をしているか」が説明できれば、書類選考や面接での印象は変わってきます。

STEP 5：求人選び・応募の準備に進む

転職活動において最もストレスを感じやすいのが、「求人の見極め」です。

たくさんの求人に目を通しても、どれが自分に合っていて、どれが避けるべきものなのか、判断に迷ってしまいます。

そこでここでは、ブラックを避けつつ、安心して働ける求人に近づくための選び方を整理します。

サイトとエージェント、それぞれの特徴と使い分け

求人サイト（doda、マイナビなど）：自分のペースで探せるが、情報は基本的に求人票のみ。応募先とのやりとりも自分で行う必要がある。
転職エージェント（UZUZ、ハタラクティブなど）：求人の裏事情（職場の雰囲気・定着率・面接傾向など）を知っているケースが多く、初めての転職やブランクがある人にとっては心強い。

迷ったときは、両方を併用しながら、エージェントに「気になる求人が自分に合っているか」を相談するやり方も有効です。